アンダーライブ全国ツアー 九州シリーズによせて(2)

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(2)アンダーライブ前夜(卒業発表、体調不良、真夏の全国ツアー)

「時々思った 『私の夢なんて叶うのかな』
 眩しすぎるわ メインキャスト」

 

中元と北野の「これまで」

 18thシングルアンダー曲「アンダー」のWセンター、中元日芽香と北野日奈子。
 特に乃木坂46が急成長を遂げた2015年前後の時期、ともすれば遠ざかっていくように思える選抜入りに向けて、誰よりももがき苦しみ戦ってきたメンバーといえるかもしれない。初選抜から長い時間をかけ、最終的に15thシングルという同じタイミングで、自らの力で「選抜の壁」を破ったふたり。このふたりがWセンターというのはしっくりくるフォーメーションでもあり、しかし、それがアンダーセンターというのは複雑なところもあった。
 しかもそこにあてがわれたのが、この「アンダー」という曲である。
 アンダーセンター回数が最多を数える中元と、センター曲がないことを気にしていた北野。このふたりがセンターで歌う「美しいのはポジションじゃない」というフレーズは、アンダーライブがはじまる以前より連なる「アンダー残酷物語」ともいうべきストーリーとも、全体のライブ以上に熱く挑戦的なステージを作り、乃木坂46を押し上げてきたアンダーライブの系譜とも異なる、あまりにも複雑で名状しがたい何かをはらんでいるようにも思えた。

 そんなもやもやとした感情はあったものの、一方でアンダーライブの開催も少しずつ近づいていく。1年以上ぶりのアンダーライブのステージで、中元と北野が強いまなざしでセンターポジションに立ち、また新たな挑戦を始めてくれる。そしてまたあるいは、独立部隊としても活動を続ける3期生の存在にも鑑みれば、アンダーライブのあり方も少しずつ変わっていくのかもしれない。アンダーアルバムの発売とあわせて、記念碑的な作品にもなるのだろうか。
 なんとなく、筆者はそんなことを考えていた。
 しかし「アンダー」を取り巻く状況は、アンダーライブの開催を待たずに急転直下の変動を見せる。

 

中元の卒業発表、北野の体調不良

 まずは何といっても、8月6日の「らじらー!」である。
 中元日芽香の突然の卒業発表。同じく「らじらー!」でのサプライズ復帰からわずか4ヶ月半での出来事であった。あわせて、「真夏の全国ツアー」地方公演の全欠席も発表された。
 ブログでふと儚げな発言をすることはあったものの、その前週の放送回ではオリエンタルラジオと「全国ツアーのどこかでツインテールを」のような会話もしており、8月13日の仙台公演に参戦する予定であった筆者もそれを楽しみにしていた。あるいは18thシングルリリース直後の公演ということで、アンダーセンターとしての姿を見られる、「アンダー」にまつわるもやもやを、いくぶんか払拭してくれるのではないか。そんな期待をしていた矢先でもあった。
 思ったより早かった休養からの復帰、直後に迎えた神宮に始まるライブの夏。確かに体調面の不安が、いちファンとしても少しよぎる部分もあった。無理してほしくないな、とも思っていた。
 しかしこのタイミングでの卒業発表は、まさに寝耳に水だったと言っていい。

 これだけではまだ終わらない。前後して、北野日奈子の体調面が取りざたされることが多くなった。
 元気なイメージのある北野だが、ファンとしてはあまり「身体が強い」というイメージはなく、多忙な時期になると握手会を中心に少し、急な欠席がみられることもあるというメンバーではある。
 そしてまた一方で、感情がまっすぐなのが北野日奈子だとも思う。1年ぶりの選抜落ちに彼女自身も思うところがないわけがない。しかし、7月5日の「レコメン!」の代打出演や、「逃げ水」アンダーとしての音楽番組への代打出演、7月15日のめざましライブへの出演など、それでも彼女らしい元気な姿を見られる場面がいくつかあり、率直に言えば、その姿を見るたびに胸をなで下ろしていたようなところもある。

 

北野日奈子の「明らかな異変」

 しかし、中元日芽香の卒業発表直後の「真夏の全国ツアー」仙台公演。身体は動いているのに笑顔のない北野日奈子の姿が次々と話題にあがる。極めつけは初披露となった「アンダー」、単独センターの形で踏んだステージでの号泣のパフォーマンス。筆者が参戦した8月13日(仙台での最終公演)も、泣いている様子こそなかったものの、元気な様子が見られたとは言いがたかった。
 そして、8月16~18日の大阪公演を欠席。その後愛知公演には出演したものの、その後のイベント等への出演予定は体調不良により欠席となることが常態化する。ブログの更新も、19thシングルの選抜発表とイベントの欠席に関するものを最後に途絶え、「しばらくは皆さんの思いや期待にこたえられない状況が出てきてしまうと思います」という言葉で最新のブログが締めくくられているという状況であった。

 10月、アンダーライブの前週にあたる全国ツアー新潟公演も、おおかたの予想通り全欠席。
 それでもセットリストに組み込まれ続ける「アンダー」では、両脇のポジションから繰り上がってWセンターの形となっていた寺田蘭世と渡辺みり愛の強い眼差しが悲しくも曲とマッチしていたことをよく覚えている。
 アンダーライブについてのMCでは、「今日は全員揃っていないけれど、アンダーライブのステージは絶対に18人で」という趣旨のことを、すべての公演で樋口日奈や寺田蘭世が口にしていた。それは希望であり、安心であり、しかしどこかに悲壮感もあり、中元と北野のおかれた状況の難しさを感じさせるものでもあったように思う。

 ただこの夏の思い出を、語っただけのようにになってしまった。
 次はいよいよ、アンダーライブと「アンダー」に触れていくこととしたい。

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