前回の記事からちょうど1年が経つ。思ったより間が空いてしまったが、僕は相変わらず坂道ファンをやっている。
今日は、北野日奈子の24歳の誕生日だ。
前回の記事は、彼女の23歳の誕生日によせて、自分の体調のことも含めて書いたものだった。
おかげさまというべきか、ずっと順調だったとはいえないものの、僕の体調はいまとなってはすっかりよくなった。だから、僕自身について語るべきことはもう特にない。今回は北野の誕生日のお祝いを兼ねて、彼女のこの1年間を少し振り返ってみることにする。
乃木坂46のこの1年間
23歳の北野日奈子が過ごしたこの1年間は、あくまで筆者の感覚でいうならば、乃木坂46がどこか落ち着きを取り戻したような、そんな1年間だった気がしている。1年前の彼女の誕生日がどんなタイミングだったかといえば、「真夏の全国ツアー2019」のさなかで、桜井玲香がこのツアー限りでの卒業を発表しており、一方で2代目キャプテンが秋元真夏だというアナウンスはまだされておらず、直前の乃木坂工事中で24thシングルの選抜発表が行われたばかりという頃である。
その前の1年間に7人(前日の2018年7月16日に卒業した斎藤ちはると相楽伊織を入れてしまえば9人)ものメンバーが卒業して慌ただしかったことと比較してみると、もちろん井上小百合、白石麻衣、佐々木琴子、中田花奈の卒業発表もあったし、新4期生の加入もあったものの、それは時間とともに変化する運動体としてのグループが適切なスピードで未来へと進んでいく過程であるように感じることができた。4期生を24thシングルのフロントにもってきたのももはやお家芸のようなものだし、2代目キャプテン秋元真夏はメンバーとファンに安心感を与える素晴らしい采配だった。
そして2019年9月20日には乃木坂46LLCの公式サイトがオープンし、所属するOG(現時点で11人)が一覧で紹介されることにもなった。同9月1日の桜井玲香のラストライブに若月佑美が登場したことや、2020年3月7日の「幻の2期生ライブ@SHOWROOM」に伊藤かりんと相楽伊織が出演したことなど、OGとの目に見えるかかわりもみられるようになったし、キー局のアナウンサーになった市來玲奈と斎藤ちはるも、「元乃木坂46」と紹介されることが思ったより多いな、と感じられる。極めつけが、彼女らも含めた11人のOGとともに配信(YouTubeでのMV公開が2020年5月25日)された「世界中の隣人よ」であった。「乃木坂46」の輪が、グループの枠組みを超えて拡大していくような、そんな印象をもたせる動きが続いている。
北野日奈子のこの1年間
そのなかにあって北野日奈子は、安定して活動していたといっていいと思う。24th・25thシングルでは3列目で選抜入りし、福神メンバーであった23rdシングルとあわせて、1年間選抜メンバーとして活動を続けた。22ndアンダー曲であり、彼女が初めて単独でセンターに立った曲である「日常」は、「真夏の全国ツアー2019」や「8th YEAR BIRTHDAY LIVE」でも、客席を熱狂させる独特の存在感がある曲として大きくなっていった。
「Zipper」の休刊以降モデルとしての活動は途絶えていたものの、2019年9月28日の「GirlsAward 2019 AUTUMN/WINTER」では久しぶりにランウェイを歩いた。舞台の経験は一定程度あるものの、演技のイメージはそこまで強くない北野だが、「乃木坂シネマズ~STORY of 46~」では2020年1月22日配信の第5話で主演を務めた。2019年12月14-15日初回配信の「#乃木坂世界旅 今野さんほっといてよ!」の出演メンバーにも選ばれ、堀未央奈とともにニューカレドニアを旅した。堀とのコンビでいえば、「8th YEAR BIRTHDAY LIVE」での「行くあてのない僕たち」も印象深い。「幻の2期生ライブ@SHOWROOM」をインフルエンザで欠席した、なんてこともあったが、乃木坂46を確実に支えるメンバーのひとりとして、北野はこの1年間、歩みを進めてきたといえる。
グループの一員として
そして何よりも大きいと感じるのが、北野の「乃木坂愛」ともいえる感情の高まりである。「グループのために」という行動理念、と言い換えることもできようか。それは目に見えるものではないし、数字で計れるものでもないが、まがりなりにも数年間推してきた者として、肌で感じるところである。
「アップトゥボーイ」2019年10月号では、「(一期生に教わったことを)三期生、四期生に伝えていけたら」、同2020年2月号では、「後輩たちとも積極的にコミュニケーションを取って、グループとしてまとまるために、やれることをやりたい」、日刊スポーツ「坂道の火曜日」2020年7月7日号では、「1期生のあり方を一番近くで見てきた後輩として、3期生や4期生に懸け橋として伝えていきたい」というように、2期生として乃木坂46の継承と発展を担わんとする自らの立ち位置を繰り返し明確な言葉にする場面が多くあった。
この思いは、2018年4月22日の生駒里奈卒業コンサートにサプライズ登場し(休業後初めてのライブの場だった)、生駒に「任せてください」とメッセージを伝えたことからずっとひとつながりで続いてきていると感じる。乃木坂46を「守り、育てる」とでも言おうか、そのような決意と意識で、グループの一員として生きている、といえるかもしれない。
あけすけに言ってしまえば、北野は外仕事を引っぱってきてグループを大きくするタイプのメンバーではない。しかしそんな彼女が、強いグループ愛をもち、そしてそれを自覚し、行動に移していることは頼もしい。すでに卒業発表をしている白石麻衣と中田花奈を除くと、年齢でも44人のメンバーで上から6番目になる。陰に日向に、これからもグループを支えていくのだろう。
ありのままの「きいちゃん」で
その一方で、北野は大人ぶった行動を見せるという感じではない。彼女本来のキャラクターであるちょっと子どもっぽい明るさが見られる機会が逆に増えているような感覚もある。加えて、近しいメンバーとの紐帯を進んで見せるようにもなった。
最近では渡辺みり愛と出演した「猫舌SHOWROOM」や、ゲスト出演した「乃木坂46・久保史緒里の乃木坂上り坂」などで、近しいメンバーと無邪気にじゃれる(「むじゃきいちゃん」という言い方も、そういえばあった)姿をよく見せてくれている。「乃木坂46時間TV」でも2期生のほか久保と同じ画面におさまる場面が「乃木坂電視台」をはじめとして多くみられた。
またあるいは、卒業した中元日芽香への言及も続いている。先述の「猫舌SHOWROOM」では渡辺と、「乃木坂上り坂」では久保とふたりで「びーむ」を見せてくれたし、中元不在でサンクエトワールの楽曲を披露したり、寺田とともに中元のソロ曲「自分のこと」を歌唱したりした「8th YEAR BIRTHDAY LIVE」に際しては、755では「どうしても彼女のことを思うと涙が出てきますね」と率直に語り、ブログでは中元と連絡をとりあったエピソードを明かした。
彼女の歌であり私のことを歌っているようでそれが私と彼女とで重なる部分が多すぎてまた思いが溢れてしまいます
そして「世界中の隣人よ」MVでは、休業中だった2018年3月24日の「乃木坂46時間TV」 に登場した際に一緒だった星野みなみと相楽伊織と3人で出演した「乃木恋」CMの際に撮った写真が北野のシーンで映されていた(これについてはこの記事に詳しく書かれている)。どのメンバーにも活動してきたなかでその人なりの歴史があり、その人なりのメンバーなどとの関係性があり、それはその人の一部であるとともに、グループの一部でもある。
グループとしての乃木坂46も、「乃木坂らしさ」を探し求めた歴史があった。そうした時期よりは少し後のことになるが、北野も21歳になるに前後して、自分らしさがわからない、と吐露し、苦しんだ季節があった。
すこし前にモバイルメールで
私らしさ。について送ったけど
私はいま
日奈子らしい、日奈子らしくないがわからないです!
探し求めて苦しんで、何かが手に入ったのかどうかはきっとわからないのだろうけど、僕の知る乃木坂46は確かに「乃木坂らしさ」を備えている気がするし、あるいはあの苦闘の季節をくぐり抜けた現在の北野は、北野日奈子らしい、きいちゃんらしい、 と思う。
21歳になった時の私は自分が自分から離れていく感覚とか自分の周りの温度を気にしたり
本当に色々なことがあって
その先の未来が全然想像できなくてだから24歳になった自分が
こんなにたくさんの幸せの中にいられることが
奇跡みたいで感謝の気持ちでいっぱいです!
自然体の彼女が確かな居場所を見つけたとき、自分とは違う何者かになろうとするのではなく、ありのままの彼女がその場所と重なったとき、それが「北野日奈子らしさ」だったし、それは同時に「らしさ」を求める呪縛からの解放だったのかもしれない。「奇跡」と呼ぶこともできるのだろう。違和感なく世界を生きられるようになった彼女はきっと強いし、優しい。北野日奈子が自分の思いにしたがって行動することが、グループに寄与し、そしてグループそのものになる。
展望と希望
さて、ひるがえってグループをとりまく現況を見ると、新型コロナウイルスの影響でエンタメ業界全体が苦境に立たされている。工夫を凝らしてテレビやラジオの収録ではだんだんとできることが増えてきてはいるし、雑誌などの媒体もある程度正常化してきたが、ライブや握手会を筆頭とするリアルイベントの再開は未だになかなか見通せない状況が続いている。
当たり前のことが当たり前でなくなった世界にあって、だけど僕は北野日奈子と乃木坂46をこれからも信じてみたいと思う。僕をここまで連れてきてくれた彼女たちだから、これからもついていきたいと思う。
乃木坂46という世界を駆け抜けていく北野の背中に、確かな希望が見てとれる。
願わくば彼女とともに、明るい未来に出会えますように。
(きいちゃん、お誕生日おめでとう。)
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