ひらがなけやき、アイデンティティの淵源。(6)

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2期生「おもてなし会」、継承と発展

 2018年2月12日、ひらがなけやき2期生による「おもてなし会」が幕張メッセイベントホールで開催された。1期生による「ひらがなおもてなし会」が赤坂BLITZでのスタンディング形式であったことを考えると、1年半も経たないうちにこれだけ舞台が大きくなったのかと驚きを禁じ得なかったことを覚えている。
 しかし、舞台は大きくなっても「おもてなし会」の伝統はきちんと継承されていた。演目のめくり台、「部活」に分かれての個性豊かなパフォーマンス、そしてミニライブ。さらに人数規模から難しいだろうという予測もあった終演後のお見送りも実現しており、まさしく「おもてなし」であった。

 ひらがなけやきとしての曲数が増えてきたこともあってか、ミニライブはアンコール付きの全8曲と非常に豪華だった。2期生曲はまだないタイミングではあったが、「ひらがなけやき」「僕たちは付き合っている」「それでも歩いてる」「永遠の白線」「誰よりも高く跳べ!」と、発売済の1期生曲をすべてカバーして披露し、「NO WAR in the future」も9人バージョンで披露するという意欲的なセットリストであった。
 加えて日本武道館公演で披露された「おいでシャンプー」も再び披露されたが、一方で「君の名は希望」「制服のマネキン」は披露されなかった。少し中途半端にも思える選曲だが、最もひらがなけやきの雰囲気に近い曲を選んだのだろうか。もしかしたら日本武道館公演が予定通り1公演であれば、そこで披露されたのは「おいでシャンプー」だった、ということなのかもしれない。
 ちなみにアンコールで披露されたのは「W-KEYAKIZAKAの詩」だったが、2018年8月現在でこのときが最後のライブでの披露となっている。

 

独立路線へ「走り出す瞬間」

 これ以降は、ここでは簡単に振り返っていくのみにとどめたい。
 「おもてなし会」を経て、2期生もひらがなけやきに本格合流という形となった。4月からは冠番組「ひらがな推し」がスタート、4月20日~5月6日には全員での舞台「あゆみ」が上演され、一気に漢字欅と並び立つような独立路線が強まっていく。
 そして6月から7月には東名阪での「走り出す瞬間」ツアーが開催、この期間中の6月20日に単独アルバム「走り出す瞬間」も発売され、単独での音楽番組出演も複数あった。ツアーのセットリストからは漢字欅の曲は完全に消え、遅ればせながらようやく独立したグループとしてライブを開催したような形となった。
 しかし、これまでの期間が彼女らにとってまわり道だったかと問われれば、決してそんなことはないと思う。「誰よりも高く跳べ!」をはじめとする少ない持ち曲を1年以上をかけて育てながら、パフォーマンスを磨いてきたのである。
 本稿執筆現在、「坂道合同新規メンバーオーディション」の最終選考が終了し、配属グループの発表を待つという段階にある。グループへの合流までにはもう少し時間があるだろうが、さらに人数が増え、パワーアップしたあかつきには、単独シングルの発売も期待される。走り出したばかりのひらがなけやきのこれからを、引き続き応援していきたいところだ。

 

「ひらがな」というアイデンティティ

 ひらがなけやきとは何か。何がどうひらがななのか。ひらがなだから何なのか。
 漢字欅とどう違うのかという答えは明確になってきたが、「なぜ“ひらがなけやき”でなければならなかったのか」という問いには、いつまでも答えが出ない。
 しかし「ひらがなであること」は、彼女らのひとつのよりどころとなっている。
 ここまで振り返ってきた単独公演はどれも、「ひらがなけやき」「ひらがなで恋したい」で1曲目が始められている。唯一の例外であるのが1期生の「ひらがなおもてなし会」のミニライブで(1曲目は「サイレントマジョリティー」)、彼女らは初ワンマンであるZepp Tokyo公演以降、とにかく「ひらがな」を全面に押し出してライブを重ねてきたのである。

 確かなのは、ひらがなけやきのメンバーたちがそこにいることであり、彼女らが「ひらがなであること」にもはや一片の疑いも持っていないことだ。円陣の最後や、多くの振り付けにも使用されている「ひらがなポーズ」も、その象徴である。
 「ひらがなけやき」というよくわからない何ものかを、自らのアイデンティティとしている。その内実にあるのは、彼女らの努力にほかならないのではないだろうか。

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